マスターの呟き

アクセスカウンタ

zoom RSS ときめいてkoi!

<<   作成日時 : 2008/06/13 00:01   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

第五話 えらい事だゃん(18)

「エェ、それはもぉ……喜んでぇ……」
 情けなくもそろえた膝の上に手を置き、ペコペコと頭を下げる大樹の事を、紅糸は少し不満そうに口を尖らせながら視線を向けている。
「なんだか気になるような発言が一部にあったような気がするけれど、まあ良しとしておいてあげましょう……さてと、それじゃあ、キッチンを借りるわよ」
 怪訝な顔をしながら紅糸は履いているスカートをポンと叩きながら立ち上がり、腕まくりをすると、大好きなアニメが終わってホッとしたのか海亜が紅糸の顔を見上げる。
「おねえちゃん、なにを作るの? 海亜もお手伝いする!」
 ワクワクしたような顔をする海亜に、少し考えたようにアゴに指を置く紅糸だったが、やがてその顔を柔らかく笑顔にする。
「ウン、じゃあ海亜ちゃんにも手伝ってもらおうかな? 今日はシチューを作ろうと思って材料も持ってきたんだよ?」
 ようやく笑みを浮かべた紅糸が海亜の頭をポフポフと撫でながら言うと、海亜も嬉しそうにその目を細くして笑顔を膨らませる。
「やったぁ! ボクもおにいちゃんにシチュー作ってあげようと思っていたの。でも作り方がわからなくって、お料理本を見ていたんだぁ」
 なんだってシチューを作ろうとしていたお前が、あんな格好をしていたんだかが俺にはよくわからん。少なくともそのおかげで俺の頬には手形がビッタリと付くは、暁菜とはなんとなく気まずい雰囲気になるにはで、えらい事になっているのは間違いないんだ。
 心の中では海亜に怒鳴り散らしている大樹ではあるが、今の状況から見ると、自分が圧倒的不利と思われ、決して口に出しては言わない。
「そっかぁ、じゃあおねえちゃんが海亜ちゃんに手ほどきしてあげましょう。今度は海亜ちゃんが自分で作れるようにネ?」
 キッチンから聞こえる二人のそんな会話は、どこと無く本当の姉妹のようにも聞こえ、それまで荒んでいた大樹の心が少し癒される。
 ウム……何となく海亜と紅糸が仲良くしているというのは良いものだ。
「そっかぁ、それじゃあこの本はもう要らないよね?」
 ん? 我が家に料理本などという気の利いた物があったか?
「ウン、レシピはあたしの頭の中に入っているからだいじょう……ぶ……よ?」
 キッチンカウンターの向こうに見える紅糸の顔が、音を立てたように一気に赤くなると、軽蔑したような視線が大樹に向き、その二人の視線の間に海亜が参考にしたその本がゆっくりとフェードインする。

続く……。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ときめいてkoi! マスターの呟き/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる