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<<   作成日時 : 2008/07/23 19:16   >>

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第六話 気持だにゃん(4)

「大樹ぃっ! おっは〜よぉ!」
 登校時最後の難関である通称『心臓破りの坂』の途中で背後から声を掛けられ振り向くと、そこには大きな紙袋を持った紅糸が息を白く濁して立っている。
「なんだぁその大荷物は……ついに家でも追い出されたのか?」
 意地の悪い顔をする大樹の事を、紅糸は頬を膨らませながら睨みつけてくる。
「……ったく、だから女の子にモテないんだぞ? 今日は何の日だか知っているの?」
 男に言われるのは慣れているが、女の子にモテないと言われるのは初めての経験だぜ、さすがにちょっと傷ついたかも……それにしても今日は何の日って、そんなの決まっているべ? 男からすれば決戦の日だ。今日こそ今までの惨敗記録をストップさせる日だ!
 妙な気合の入っている大樹をわき目にしながら、紅糸は呆れたように小さくため息をつくと、黙ってゆっくりとその長い急坂を再び上りはじめる。
「ちょ……知らん顔をしておいていかないでくれるか? 少し寂しいぞ?」
 慌てて付き添い歩きはじめる大樹の顔を見ようともせずに紅糸は黙々と歩く。
 なにか悪い事でも言ったかなぁ俺……紅糸の機嫌が急に悪くなる事が最近増えたような気がして仕方が無いんだけれど、それって俺の気のせいなのかな?
 次第に生徒の声が大きく聞こえ始めると、『心臓破りの坂』の終点にたどり着く。
「なっ、なんだ?」
 坂を上りきり目の前に広がる小さな広場には、紅糸が持っている物よりもさらに大きな紙袋を持った女子と、女子と向き合って照れ臭そうに頭を掻きながらうつむいている男子の姿が至る所に見る事ができる。
「ほえぇ、さすが高校になるとみんな学校に持ってくるのね? それに、みんな結構気合入っているかもしれないなぁ……」
 それまでずっと無言だった紅糸が、その光景に隣で感嘆の声を隣で上げる。
「持ってくるって、もしかして、あれはみんなバレンタインのチョコレートなのか?」
 ギョッとしたような顔をした大樹の目の前では、大きな紙袋から小さな袋を取り出し、まるで駅前でティッシュを配るかのように男子に渡すという光景が繰り広げられている。
「そう、中学の時ってこういう物を持って来るのが禁止されていたでしょ? 高校も基本的には禁止らしいけれど、先輩が言うにはこの学校はその辺は寛大みたいなのよね?」
 肩をすくめながらクスッと微笑む紅糸を大樹は見て、その紙袋に視線を向ける。
「へぇ……そうなんだ……」
 自分自身でもわからないようなモヤモヤが大樹の心の奥に広がりはじめ、無意識に歩く速度が明らかに速くなると、後ろから紅糸も慌てて歩きはじめる。

続く……。

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