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<<   作成日時 : 2008/08/06 16:34   >>

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第六話 気持だにゃん(6)

「フフフ、どうやら勝者はキミだけでは無いようだな? この俺様にも春が来たという事だ。悪く思うなよ? お前は一つ、俺様は二つだっ! ガハハハァ!」
込み上げてくる喜びを素直に吐き出す大樹は、これ見よがしにそれを見せ付けると、卓也は、まるで地団駄を踏むように悔しがっている。
「くそぉ〜っ、何でお前が二つで俺は一つしかないんだ? こんな不条理がこの世にあっていいのかぁっ? そんなはずが無い! これは悪夢に決まっている!」
 今にも大樹に噛みつかんばかりの勢いの卓也に、隣の席に座る紅糸は笑顔を浮かべながら、持ってきた紙袋の中から小箱を取り出すと、それを卓也に差し出す。
「ハイ、卓也くん」
 差し出された小箱と、紅糸の顔の間を卓也の視線は交互に忙しなく動かせると、その顔は一気に血液が流れ込んだといわんばかりに真っ赤に変わり、そっとそれを受け取ると、今にも涙を流さんばかりの表情に変化させる。
「――これを俺に……ですか?」
 なぜか敬語になる卓也にコクリと紅糸が頷くと、まるで世界中の幸せをすべて一手に引き受けたような笑みを浮かべながら、まるで神様からの授かりもののようにうやうやしく受け取り、高らかにそれを天に向かって突き上げる。
「ありがとう! 感謝! サンキュー! カムサハムニダ! 謝謝(シェイシェイ)! グラチェ! ダンケシェーン! スパスィーバ! どもねぇ〜!」
 なぜか最後だけが北海道弁になっているのかがよくわからないが、恐らく卓也の知っている感謝の言葉を全て出し尽くしたのであろう、スキップを踏みながらそれを大事そうに抱えて自分の席に戻る卓也の後姿は、まるでご主人様に大好物の骨を貰ってそれを隠しに行く忠犬のようにも見え、大樹は失笑を浮べてしまう。
 よかったなぁ卓也。誰からよりも一番欲しかった相手から貰えたんだから本望であろう。
 卓也の気持ちをよく知る大樹は、どことなく優しい視線を向けながらも、心の奥底で紅糸の次のアクションを期待するが、しかし紅糸は卓也にそれを渡しただけでそのまま席に座ると、何事も無かったように授業の準備に取り掛かっている。
 あれ? 卓也にはあげて、俺には無いのか?
 拍子抜けしたような顔をして席にも座らずに、机の横で立ち尽くしている大樹に気づいた紅糸は、小首をかしげながら大樹の顔を覗き込んでくる。
「ん? どした?」
 トントンと教科書をそろえる紅糸は、まるで悪気のないキョトンとした顔をして大樹の顔を見上げると、あからさまにその表情は不機嫌そうになってゆく。

続く……。

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